新名古屋ハーモニーステーションの代表として、ステーション設立当初からステップにてアンサンブル企画を実施している。

音楽を感じ、表現する上で最も大切な「うたう」ということ、ピアノではとらえにくい「メロディ?の流れ」に目を向け、フレーズを感じ取る力を持った子供たちを育てることを目指して、ステーション設立の当初から弦楽器とのアンサンブル企画を実施しています。
参加者の多くはアンサンブル未経験で、普段はソロで演奏していますから、自分の枠にはまりがちです。それは時に勝手気ままな表現になりかねません。これを正しい個性へと育むことが大切で、そのためにうたい方、フレーズ感を感じ取りやすい弦楽器とのアンサンブルが極めて有効です。
実際のリハーサルの現場では、1回目の合わせではタイミングも合わないぎこちない演奏だったのが、２回目では音が合うようになり、３回、４回目となると弦楽器のうたい方を感じ取って自らうたおうとする気持がはっきり見えてきます。この「感じ取ろう」とする気持ちが聴く力を育て、それは自分の音をしっかりと聴きながら演奏することにつながっていくのです。

ソロだけでなく室内楽、オーケストラとの共演で活躍するほか、学校クラスコンサートで管・弦・打、声楽など様々な編成でのアンサンブルを経験。

曲を弾く時には、編成を問わず同じ作曲家の他の作品も聴くのが習慣です。室内楽やオーケストラ編成の作品を聴くと、ピアノソロとは異なる作曲家の側面が見えてきます。
実際に演奏する際にアンサンブルとソロで大きく異なるのは、舞台上に自分以外の存在がいること。ソロの場合でも自分の周囲の空間に音を届けることを意識していますが、アンサンブルでは相手の存在や音を道標に、より感覚が鋭敏になる気がします。ソロの時とはニュアンスの違う自分の感覚が目覚め、ひろがっていくイメージでしょうか。
演奏に取り組むときには、一点透視図法的な見方だけでは足りず、ピカソの絵のように立体的にいろいろな角度から考え感じたことを消化し、一つにまとめ上げていきます。アンサンブルの経験は、多様な視点を持つための助けになると思います。
また、自分の意思や個性を出しつつ相手と協力して音楽を作りあげることにより、協調性やコミュニケーション力もおのずと向上します。対話の先に、お互いが相手の集中力を増幅させあうような演奏ができた時は、大きな喜びがありますね！
今は他楽器と共演できる場も増えていますから、ソロを中心に勉強している方にこそ、少しずつでもアンサンブルに挑戦しながら音楽をより豊かにしていただければと思います。