アドバイザーは手で語る 佐野隆哉先生
ステップの開催は年間約500地区。のべ1500名の先生方がアドバイザーとしてご協力くださっています。アドバイザーの先生方が何を思い、感じ、アドバイスを記すのか、その根源を探ります。
佐野隆哉先生(正会員/東京都)
自分自身が納得できる演奏に届くために
呉地区では、初めてトークコンサートピアニストを務め、1,614人収容の大ホールで演奏するという、個人としても貴重な経験をさせていただきました。
私は6歳の頃、あるピアニストの『ラ・カンパネラ』を聴いたことがきっかけに、音楽の道を進むことになりました。今回、トークコンサートの15分は、留学先だったフランスのピアノ作品を中心にしながらも、客席にいる子供たちに対して、自分も何か影響を与えるピアニストの一端になれればと、私の初心そのものである『ラ・カンパネラ』を演奏したわけです。
呉の皆さんは、コンクールのリハーサルという目的で参加する方が多かったようです。一方「今年はコンクールには参加しないが、その次へつなぐために今回はステップに参加する」と60字コメントで教えてくれる方もいて、そんなふうに「ピアノが好きで継続したい」気持ちに接することができ、私はとても嬉しかったです。
演奏で大事なのは、結局は「自分自身が納得できる演奏」であるかどうか、です。自分が自分に納得できるためには、逆説的ですが、他人の演奏に興味が持てるかどうかです。他人の演奏に、ここが素晴らしい、なぜこういう音なのか、と興味を持つことで、客観性が養われ、その後から初めて「自分自身が納得できる演奏」が会得されるのではないでしょうか。
(会報321号より)
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