アドバイザーは手で語る 西畑久美子先生
ステップの開催は年間約500地区。のべ1500名の先生方がアドバイザーとしてご協力くださっています。アドバイザーの先生方が何を思い、感じ、アドバイスを記すのか、その根源を探ります。
演奏から素敵な瞬間をとらえ、自分の魅力を実感してもらう仕事
一般的なコンサートでは、入場料や年齢の制限があり「聴きたくても聴きに行けない」 というお声をよく耳にします。そういった現状を踏まえ、トークコンサートでは啓蒙的な意味合いを持たせた内容を心掛けています。
私の場合、クラシックにこだわることなく、子どもが音楽の世界に接するきっかけを 作ろうと心がけているので、童謡をアレンジしたものなども取り入れます。また、ピアノが作曲家や作品それぞれの空気感の違いを生み出せること、質感や温度差、色彩の変化など、言葉では語りつくせない多彩な変化を実感して頂くために、内容の高度な作品を演奏することもあります。
また、最近のステップの参加者はレベルが高くなっているので、チェンバロを使ったり、プラスαのやや専門的な話もできるようになりました。ステージ経験がプロ並みに 多い方も増え、アマチュアとは思えない素晴らしい演奏が多くなり、プロとアマチュアの境界線が薄くなっていると感じます。
ステップのステージポイント数に正比例して、演奏に深みや熟成を感じるのは私だけではないでしょう。背景にある指導者の先生方の熱心な勉強ぶりも伝わってきて、「良いご指導を受けていらして幸せですね」と書かせて頂くことも度々です。だからアドバイザーの仕事は、次もまたステージに出たい、という気持ちにさせることです。本人は何となく感じているかもしれない、優れた部分、心の琴線に触れる何かを積極的にメッセージ用紙に書き、ご自身の魅力を再認識して頂けたらと思っています。何年もアドバイザーを務めていて、日本の音楽教育の土壌が確実に豊かで密なものとして広がっていると、実感しています。
(会報320号より)
あなたがこれまで受け取った中で心に残っているアドバイザーのメッセージや、アドバイスに関する印象的なエピソードや要望がありましたら、ぜひお聞かせください!
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