アドバイザーは手で語る 桑原巌先生
ステップの開催は年間約500地区。のべ1500名の先生方がアドバイザーとしてご協力くださっています。アドバイザーの先生方が何を思い、感じ、アドバイスを記すのか、その根源を探ります。
シンプルな「鍵盤」から生まれる無限の可能性
松山ハーモニーステーションの室内楽企画は、アドバイザーも兼任した谷口賢記先生が、本番でリハーサルと違うように音楽の全体を運び、なおかつ参加者もそれに反応してくれるという、大変レベルの高いもので驚きました。
一般に言えることとして、ステップは、ステーションの運営も行き届いていますし、参加者の演奏に、周りの方の「応援」の気持ちを感じますね。コンクール前で思いつめたような苦しい演奏もときどきあるけれど、指導者やご家族には、子どもと音楽の付き合い方のバランスを徐々に良くしてストレスなく音楽が楽しめるよう、心を配ってほしいと伝えています。
日本のピアノ指導者はメロディーを「ター」とか「ラーリー」と歌うことが多いのですが、 これは、腕や手をドロップする動きが「タ行」に、ロールする動きが「ラ行」に反映しているのではないかと思います。でも指揮者のバーンスタインならば、「ディビディビー、ディビディー」と歌ったりします。
歌い方ひとつにも多様性があると気づかされますが、ピアノ というのは押さえれば音が出る、という単純な仕組みながら、10本の指それぞれが別々の楽器だと考えるととてつもない多様性を発揮できるのですよね。鍵盤というシンプルなものから、無限の可能性が引き出せるということが、他楽器とのアンサンブルから学べる最大のポイントです。
(会報321号より)
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