ピティナ・ピアノステップ

アドバイザーは手で語る 飯田真樹先生

アドバイザーは手で語る

ステップの開催は年間約500地区。のべ1500名の先生方がアドバイザーとしてご協力くださっています。アドバイザーの先生方が何を思い、感じ、アドバイスを記すのか、その根源を探ります。

飯田真樹先生(正会員/愛知県)

ピアノを通した「教育」の意義

私はステップの講評の際に、「ピアノを学ぶときは、指・心・耳の3つを鍛えましょう」とよくお話しています。指はピアノを弾くときに、心は感情を表現するときに、 耳は自分を客観視するときに必要です。いずれも人格を形成する上で、多大な影響を及ぼす部分となります。 人間が成長する過程では、感性とそれを表現する肉体のバランスがとれていることが理想です。身体を使って表現をする音楽では、両者がバランスよく培われます。

音楽は図形に例えると「多面体」のようなもので、角度によって見える形が変わります。例えば、聴く側が何にこだわっているかは重要なポイントですし、ある一つの表現を個性ととらえるか、適不適でとらえるかによってもコメントは大きく異なってきます。ステップの良いところは複数の目と耳がその演奏を聴き、思い思いにメッセージを綴るところです。アドバイザーからのメッセージを通して、音楽の持つ多様性を知っていただきたいと思います。

また、その人の普段の音楽への取り組みや成長の様子を総合的に最もよく知っているのは初めて演奏を聴いたアドバイザーではなく、指導者の先生です。この世界にたった一人でも自分の演奏を好きになってくれる人がいたら、その子はピアノを続けられると思いますので、先生には誰よりもその生徒さんの音楽を好きになっていただき、アドバイザーからのメッセージは普段のレッスンのスパイスとして活かしていただけると幸いです。

私自身にとってピアノの先生は技術的な意味での「先生」に留まらず、ピアノを通して音楽を、音楽を通して芸術の奥深さを、そして芸術を通して人生の意味を考えさせてくれた存在でした。ピアノの先生は、ピアノの手ほどきから始まって、その子の音楽の扉を開き、その生徒にかけがえのない心の糧を残せる存在となりうるのだと思います。

(会報326号より)

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