ピティナ・ピアノステップ

アドバイザーインタビュー 久元祐子先生

モーツァルトステップに寄せて

会報「our music」のモーツァルト連載で大好評の久元祐子先生を「モーツァルトステップ」(2/12新宿)にてアドバイザーとしてお迎えする。今回のモーツァルトステップは、演奏するピアノを現代のピアノ(スタインウェイ)とピアノフォルテの両方から選べることもひとつの魅力だ。モーツァルトの時代のピアノフォルテで、モーツァルト作品を演奏する際の楽しみ方、また現代のピアノで演奏する際の留意点などをお伺いした。

─ ピアノフォルテと現代のピアノの相違点とは?またそれぞれのピアノでモーツァルトを弾くときの楽しみとはどのようなものでしょうか?

まず鍵盤の数が異なりますね。5オクターブしかないわけです。モーツァルトは、この5オクターブしかないピアノフォルテを最大限使った人です。モーツァルト作品の最高音は、当時のピアノフォルテの最高音でもあるわけですから、ピアノフォルテを弾きながらそれを体験するだけでも貴重だと思いますよ。
また音量も違いますね。モーツァルトの曲を現代のピアノで弾くには、ある程度コントロールしなくてはなりません。現代のピアノのフォルティッシモまで出してしまうと「Too Much」なんですよね。でも、当時のピアノフォルテだと、楽器の限界まで出しても「Too Much」にならない。思い切って音を出す事ができる楽しさがあると思いますね。
逆に、現代のピアノでモーツァルトを弾くときには、ピアノの持っている美しい部分を引き出すという楽しみがあります。例えばメゾフォルテより小さい音の方が音色の変化を出しやすいですよね。その部分で、モーツァルトを表現するという面では楽しいんじゃないかと思います。

─ モーツァルトが今生きていたら、どんな曲を作曲したと思いますか?

楽器の全部を使って迫力ある音楽を書いたかもしれないですね。楽器によってつくる作品は大きく変わりますから。モーツァルトは最初の頃はチェンバロの為の曲を作ったり、クラヴィコードの為の曲を作ったり...。良い楽器に出会って、曲がガラッと変わるんですね。「こういう良い楽器が出ました、お父さん」と手紙で報告しながら、モーツァルトは音楽を進歩させていったのです。だから、楽器の進歩と楽曲の進歩と比例しているという良い例だと思います。ちょうどその変成期だったのですね。その辺りも面白いと思いますよ

久元祐子先生
ひさもとゆうこ◎東京芸大卒、同大学院修、国立音大講師、日本ラトビア音楽協会理事、セレモアコンサートホール武蔵野顧問、当協会正会員、同編集委員。
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