モーツァルトステップレポート(2/12新宿)~音源とともに紹介
2月12日(祝)、新宿区角筈区民ホールにてモーツァルト作品をテーマにしたモーツァルトステップが開催された。モーツァルトステップに参加したのは計63名、全員が1曲以上モーツァルト作品を選ぶことが参加基準。モーツァルトの若き時代の作品からヴァリエーション、ピアノ・ソナタ、室内楽作品まで多岐にわたる楽曲が披露され、モーツァルトの魅力を再確認するステップとなった。
ピアノの前身「フォルテピアノ」が弾ける!
今回の目玉企画のひとつ、ピアノの前身、フォルテピアノ(ノイベルトの1815年レプリカ)とスタインウェイからどちらかのピアノを選んで演奏できる。フォルテピアノを演奏したのは、41名、スタインウェイを演奏したのは22名という結果となった。大半の参加者がフォルテピアノの演奏ははじめてとのこと。「どちらかのピアノを選んで弾けるというのは、世界初めての企画なのでは?」とアドバイザーの小倉先生もコメントくださった。
モーツァルトや古楽器に精通した6名のアドバイザーから内容の濃い講評をいただいた。
「私は『モーツァルトさん』とお呼びしているのですが、ー60年間モーツァルトさんの魅力にとりつかれて研究していると親しみを感じて呼び捨てにできなくなりまして。これからも数多くのモーツァルト作品に触れて習熟してほしい。これからも皆さん、モーツァルトさんをよろしく」(海老澤敏先生)
「『フォルテピアノの演奏は初めてでわくわくします』というコメントが多かったが、新しい楽器に触れるときの新鮮な気持ちを持ちつづけてもらいたい。フォルテピアノはとても繊細な楽器、これを弾いたときの記憶や経験を生かして、一歩一歩モーツァルトに近づいていただきたい。」(久元祐子先生)
「曲はモーツァルト、楽器はモダンピアノとフォルテピアノのどちらでもよいというのはとても画期的な企画。古楽と現代の音楽は全く違った世界のものであった、でもその壁は取り払われるべきだとずっと思ってきた私にとっては、このような機会が提供された今日という日はとても歴史的な日だと思っている。 モダンピアノでは、モーツァルトの軽やかな音をいかに出すかという練習をするが、フォルテピアノは、もとからその軽やかな音を持っている。
フォルテピアノがただ昔の楽器だったというわけではなく、当時の楽曲と密接に関わっていたということを感じてほしい。」(小倉貴久子先生)「フォルテピアノは、ちょっと弾いただけで、思い通りにコントロールして弾こうというのは非常に難しい。モダンピアノでの弾き方とは異なる。指が上にあがるこの速さが大切。」(今井顕先生)
「フォルテピアノの鍵盤の深さは6ミリ。普通のピアノは1センチ。この浅いところで勝負しないといけないという難しさがある。リズムやメロディなど自分の弾き方を意思的に持っている方は楽器が変わってもうまく弾けていたように思う」(林苑子先生)
モーツァルトステップに出演した中からアドバイザー推薦のあった次の参加者の演奏音源をご紹介。ピアノ曲事典からも視聴いただける。
ピアノ・ソナタ 第12番 ヘ長調 K.332(300k) 第1、3楽章
ピアノ・ソナタ 第16番 変ロ長調 K.570 第1楽章
ピアノ・ソナタ 第16番 変ロ長調 K.570 第2楽章
ピアノ・ソナタ 第16番 変ロ長調 K.570 第3楽章
今回使用したフォルテピアノ
ドゥルケン レプリカ(ノイペルト社製)
ノイペルトのレプリカは、1815年にルイ・ドゥルケンによって製作されたオリジナルに基づき作られている。この6オクターブ(F1-f4)のフォルテピアノの明るく多様な響きは、ドゥルケンの理想とした、モーツァルトの時代を思い描かせてくれる。
(フォルテピアノ提供:ユーロピアノ)