講座レポート - コンチェルトの楽しみ方
この度、4回目のステップ開催を迎える、音の森ステーション代表・武田真理先生を中心に、たっぷりと実演を交えながら、コンチェルトの楽しい魅力と活用法を紹介して頂いた。
また、会場にお集まりの先生方にも実際にコンチェルト体験をして頂き、活気ある楽しいひと時となった。
ヤマハミュージックセンター池袋で行われたこの講座は、2008/3/23池袋春季ステップで演奏可能な12曲を紹介。指揮の桑原巌先生、エレクトーンの田崎祐子先生・金澤素子先生により、オーケストラの多彩な音色を表現して頂きながら、武田先生が1曲毎に詳しく解説し、実際に演奏して下さった。武田先生のピアノはとても透明感のある美しい音色で、絶妙な指揮と、迫力あるエレクトーンオケの音色が一体となり、臨場感あふれる演奏となった。
今回は新曲として、バスティンピアノベーシックスより、「ぞうさんのワルツ」「バルカローレ」「闘牛士」の3曲が加藤千晶先生の編曲により登場。ピアノ歴2・3ヶ月の方でも弾ける易しいコンチェルティーノも多数揃い、PTNAからの依頼で作曲家がコンチェルトとして書いた委嘱作品まで、演奏者のレベルに応じた、様々な魅力的な曲となっている。
武田先生は、「音楽は耳につきる。ピアノを1人で弾くのでは見えない世界が沢山あり、自分の音以外にどれだけ耳を傾け、聴く事ができるかが大切。常にオケとの対話を心掛け、オケと一体になり・かけ合い・引っ張り・支え・音の繋がりをよく聴き、色々な要素の中でそれらが一体となった時、その気持ちよさを体感すると、もっと音楽が楽しめるようになります。ピアニスト・指揮・オケ、三者の一体感を楽しみ、皆さん是非コンチェルトを体験し味わってみて下さい!」と、情熱に溢れた心に響くお言葉だった。
後半は、加藤千晶先生が作曲家の視点から、桑原先生が指揮者の視点から、スコアリーディングやオーケストレーション、指揮者の役割などについて、興味深いお話をして下さった。
- スコアとは、全体の設計図。一見どんな音か分からないが、その響きをスコアを見て想像する事で、耳を育てる事に繋がる。 - 移調楽器(移調楽器がこんなに!) - 楽器によるスラーの違い(ピアノレッスンでは耳馴染まないものも) - 用語(各奏法による音の立ち上がりの違いなど)ピンポイントで分かりやすく解説。
- オーケストレーションの違いによる響きについて、譜例と音源を元に解説。管と弦の演奏人数と音量のバランス。それぞれのパートの要素と役割(ピアノ奏法に例えるなら)。音の重ね方:音のパレット・倍音構造。などなど、ピアノ譜では見えてこない世界を紹介して頂いた。
- 最後に、バスティンの新曲3曲を使い、会場の方々による初見でのコンチェルト体験。桑原先生には、各曲のポイントを明快に教えて頂いた。また、時代による指揮者に求められる人間性などをユーモアを交えてお話下さり、小さな生徒さんでも安心してお任せできる、先生の温かい人柄が、会場の方にも十分に伝わった事と思う。「ピアノ指導者の中から、オケパートを理解した演奏・指導のできる指揮者的感覚の先生がより多くなって欲しい。」と、熱く語られていた。
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