ピティナ・ピアノステップ

2009年度ステップ新規ポピュラー課題曲の解説&アドバイス Vol.1

ポピュラー演奏のヒント

クラシックとの共通点・違いは?

 演奏における基本技術はクラシックと共通です。クラシックで培ったいろいろなテクニックを大いにポピュラーの演奏に活かしていただきたいと思います。音楽の解釈、歌い方、ハーモニーのバランスなど音楽的に大切なことも共通しています。それプラス、ちょっとしたノリのコツ、独特のフレージング、ポピュラーにおける約束事(通常ポピュラーは楽譜に細かく表記しない)などを知っておくと演奏のヒントになると思います。相違点というよりは、クラシックのテクニックにプラスする要素がある、くらいの気持ちで取り組んでください。
また、ポピュラーはソロピアノのために書かれた曲は少なく、ピアノ+ドラム、ギター、ベースなどのリズムセクションが入るアンサンブル形態のものを、ソロピアノ用にアレンジしてあるケースが多いことも押さえて楽譜を眺めるとよいと思います。

ジャンルは便宜上、【1.ロック&ポップス系】、【2.ジャズ系】、【3.ラテン系】と、【4.バラード系・その他】の4つに区分しましたが、いくつかのジャンルにまたがるものや、どちらともいえないものなどもあります。今回は、【1.ロック&ポップス系】をピックアップして、ご紹介します。

ロック&ポップス系

導入1
きらきら星 ポップス風(4手) フランス民謡(原川健・春畑セロリ編曲)
みんなのピアノワールド 先生と連弾編 :音友

伴奏がきらめくほど素敵に変化していきます。なめらかな曲想ながら、ビート感、リズム感も失わないように。段々伴奏が複雑になるにつれ、テンポが遅くなりがちなので、タテ線もよく揃えて。IIパートの右手もうるさくなりがちなので注意が必要。

基礎4
グリーン グリーン(4手) B.マクガイア(大宝博編曲)
先生と生徒のれんだんコンサート20 ジュニアソング2 :ヤマハ

1963年にザ・ニュー・クリスティー・ミンストレルズというグループが歌い、全米で大ヒットしたフォークソング。日本では、昭和42年(1967年)にNHK「みんなのうた」で発表され、後に教科書にも掲載され有名になりました。明るい曲調とうらはらに、実は7番まであるという歌詞はかなり深い内容。Iパートの伴奏は8ビートを感じて、IIパートは軽やかに。

基礎5
夜空ノムコウ 川村結花(森真奈美編曲)
ピアノソロ 初級 やさしいアレンジで弾きたい 珠玉のJーPOP :ヤマハ

SMAP初のミリオンセラーシングル。多くの歌手によってカバーもされています。たくさん登場するタイは、常に8ビートのリズムを感じて、カウントを取りながら正しく。両手のコンビネーションは意外と難しいので、片手ずつよく練習してから合わせましょう。

応用1
ルパン三世のテーマ(やさしいピアノソロ) 大野雄二(鈴木奈美編曲)
ピアノ・ソロ 中・上級 いろいろなアレンジを楽しむ ルパン三世のテーマ :ヤマハ

幅広い世代に人気のアニメ「ルパン三世」のテーマ曲。シンプルバージョンながら、かっこよいアレンジです。骨太タッチでビートをしっかり感じて。休符が多いので、16ビートのリズムを感じて正確に弾けるように、ゆっくりなテンポでトレーニングしましょう。

応用1
素直になれなくて P.セテラ&D.フォスター(橋本晃一編曲)
やさしいアレンジ ポピュラー・ピアノ・アルバム2 :ドレミ
ポピュラーピアノアルバム

アメリカの代表的なバンド、シカゴが1982年に発表した大ヒットナンバー。右手の同音連打が転ばないように。メロディーと伴奏のバランスに注意しましょう。左手の4分音符の刻みが一定の速さ、音量、音質となるように。原曲も参考に。

応用2
トップ・オブ・ザ・ワールド(4手) カーペンターズ(布施威編曲)
みんなのピアノワールド 仲間と連弾編 :音友
みんなのピアノワールド

日本では1972年にシングル・カットされて大ヒット。カーペンターズ・ブームに火をつけました。8ビートのリズムにノッて、Iパートは明るく華やかに、IIパートは左手のリズムでビート感を出すように。特にイントロ、エンディングのリズムを揃えるのが難しいので、タッチや同じ位置からの打鍵などを研究のこと。

応用4
TSUNAMI 桑田佳祐(秋谷えりこ編曲)
ハイ・グレード・ピアノ・レッスン はじめてのポップス&ジャズ :シンコー
ハイグレードピアノレッスン

サザンオールスターズの44枚目のシングル。記録的大ヒット曲となり、2000年第42回日本レコード大賞を受賞。バラードとはいえ、8ビートのリズムを感じて、ベタベタ弾き過ぎないように。教則本なので、リハモナイズ(セカンダリー・ドミナント、サブドミナント・マイナー等)の解説も参考に。曲の理解を深めるためには、クラシック同様、分析も欠かせない要素です。

発展3
トワイライト・フュージョン(4手) 三枝成彰
さどはら知子のおすすめポピュラー曲集 Vol.1 改訂版 :ミュッセ
さどはら知子のおすすめポピュラー曲集 Vol.1 改訂版

「フュージョン」とは"融合"という意味で、ジャズやロック&ポップス、ソウルなど複数の音楽の要素を取り入れた音楽です。全体的に16ビート系のリズムを常に感じて、リズムのキレが命!休符が見えるように演奏しましょう。フレーズの終わりを美しくまとめてしまうと、キレが悪くなるので注意が必要。

発展5
ウィンター・ゲームス(4手) D.フォスター(石川芳編曲)
ピアノスタイル 大人のデュオ・ピアノ :リットー
大人のピアノデュオ

デビッド・フォスターは1950年カナダ生まれ。この曲は1988年、カルガリー冬季オリンピックのオフィシャルテーマソングとして作曲されました。ピアノ演奏でも、オケをバックに彼自身がクラシックで鍛え上げた腕前を披露しています。キメの嵐のような曲なので、きっちりとタテ線を揃えて、華やかな演奏を目指してください。

展開2
ルパン三世のテーマ'78(4手) 大野 雄二(麻緒岳典編曲)
ピアノスタイル 大人のデュオ・ピアノ :リットー
大人のピアノデュオ

テレビアニメ『ルパン三世』のテーマ曲で、パンチの効いた疾走感を持ち、幅広い世代に絶大な人気があります。全体的に16ビートのリズムにノッて、Eからはお洒落なスイング感を大切に。タテ線をビシッとキメて、かっこよく弾きましょう。

(解説:課題曲選定委員 佐土原 知子先生)
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