ステージに出るたび、ステージが好きになる~ピアノ継続の秘訣~Vol.1
「まさにピティナで育ってきたと思います。」と有り難い言葉をくれた小川瞳さん。1992年にコンペ初参加、その後コンペはほとんどの級を受験、ステップも29回と、ピティナ歴は、実に18年におよぶ。その中で特に思い出深いのは、モーツァルトの「戴冠式(26番)」を弾いたピアノ・コンチェルトの経験。アンサンブルの楽しさに目覚めたという。
「ずっとピアノを続けてきたので、今となっては、ピアノは切っても切り離せない存在。生活の一部ですね。ピアノを弾くことによっていろんな感情を経験してきたように思います。それは、作品を演奏することで、その作曲家の感情を疑似体験できるというのもありますし、また、練習のときの向上心、本番の緊張感、そして本番後の達成感だったり、ピアノを通して私自身がいろんな感情を味わっています。」
何度も何度もステージに出たいと思うのは、練習過程を含めどの瞬間も真剣に取り組むことを重ねていきたいからだとか。
ステージ本番前に必ずすることはありますか?
「リハーサルなどの直前の練習では、必ず曲の出だしを弾いて終わるようにしています。出だしは特に緊張するので、その感覚を維持したまま、本番に臨めるようにするためです。あと、村上龍さんの『コインロッカー・ベイビーズ』という小説を持ち歩いています。とてもエネルギーに満ち溢れた作品で、本番前にパワーをもらえるというか。」
そんな小川さんは、実はもうひとつの顔を持つ。小川さんの著書が2冊出版されているのだ。「儚き日常」と「幻想の箱」、いずれも繊細な感情をファンタジックに描いた作品。
「物心ついた頃からピアノと読書が大好きで、日本文学から海外ものまであらゆるものを読みあさっていました。物語や絵を書くのが大好きな子どもだったようです。」誰かに読まれることを考えていたわけでもなく、1人したためていた小説だが、周囲の薦めで出版することになったそうだ。ピアノと小説執筆は、自身の中で別ものとして両立させている様子。
今年11月にはリサイタル、来年2月にはラフマニノフのコンチェルトと、大きな予定を控えている小川さん。これからも沢山のピティナのステージでお会いできそうだ。
年間スケジュールは?
春~夏 ピティナ・ピアノコンペティション参加
秋~冬 ピティナ・ピアノステップ参加