ピティナ・ピアノステップ

ステップ課題曲 選曲ノート 第1回 シューマン/サンタクロース Op.68-12

ステップ課題曲 選曲ノート

指導経験豊かなステーション代表が、おすすめのステップ課題曲を紹介します。心惹かれる曲、あなたの成長につながる作品との出会いが、ピアノを続ける原動力になりますように。

第1回 シューマン/サンタクロース Op.68-12
ステップレベル:応用2~4
顔写真
繁田優菜先生
川崎南武ステーション代表

私の周りで「先生、1曲でもいいですか〜?」と言う人はどんな人かなと考えると、例年「受験などが忙しくなる小学高学年〜中学生」がおり、今回はこの学年の方が多く参加するレベルの曲を選びました。

私がおすすめするのは、シューマン「子どものためのアルバム」Op68-12「サンタクロース」です。

おおよそ私たちが想像するクリスマスソングとは程遠い、イ短調のユニゾンから始まる不穏な雰囲気。実はこの曲、ステップ課題曲では「サンタクロース」ですが、原題は「knecht ruprecht-クネヒト・ループレヒト」といいます。聞き慣れない名前ですよね。そう、この人はサンタクロースではなく、サンタに同伴し悪い子どもを懲らしめる従者、「黒いサンタクロース」なのです。シューマンの祖国ドイツでは一般的な存在です。
ちなみに、このループレヒトを題材にした「ブラックナイトパレード」というマンガがあります。(人気マンガ「聖☆おにいさん」の作者が描いています。)現代の黒いサンタがテクノロジーを駆使する姿が面白い!

下の楽譜表紙絵、右中央辺りに描かれているのがループレヒトです。

ループレヒト

「こどものためのアルバム」は全曲にわたって、シューマンの子どもと音楽への愛に満ちており、指導ポイントも溢れています。この曲に関しては2拍子の拍感、16分音符のユニゾン、内声の処理、左手のメロディーライン‥。
詳細は他に譲りますが、足が直接ペダルに届く頃でもありますし、繊細で想像力豊かな音をどう表現するか、手から足に意識を持って欲しい年頃です。和音を目立たせる(4小節)、拍感を出す(11小節)、左手のメロディーに表情を与える(33小節)などの工夫が考えられます。
「巨匠たちは繊細なペダリングゆえ、弦の跡がフェルトに付かない。」とドイツで調律師さんに聞きました。成長期に必要以上にペダルを踏むのは負荷がかかるので勧めませんが、リハビリやバレエの動きである「フレックス&ポイント」をしたり、骨間筋を意識するためにマッサージをしたり、身体をよく観察してみましょう。

 最後に私個人の話をすると、今でこそ記事を読んでいただく立場ですが、当時は背も手も学年一小さく、友人たちのように難曲が弾けるということは全くありませんでした。その時は嫌でしたが、1曲からでも自分のペースでゆっくりピアノと向き合えば何も問題ないのです。あなたが選んだ1曲がステージに、そして世界に繋がっていく事を願っています。


おまけ
曲を弾く前に読んでみて
シューマンによる「音楽の家訓と生活の心得」
シューマンが音楽で心得ておくべき事を書いた文章です。全音、ウィーン原典、ヘンレなどの楽譜に載っています。
シューマンの他の作品を弾くなら 4分の2拍子、4分の3拍子の曲が多くあり、「サンタクロース」で練習した拍感を活かせます。大人の視点からみた子どもの情景です。(応用7~発展3)
もう一曲挑戦するなら 23ステップ課題曲唯一の坂本龍一さんの楽曲です。(応用1)

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