2009年度ステップ新規ポピュラー課題曲の解説&アドバイス Vol.2
“ジャズ系”演奏のヒント
新しいポピュラー課題曲のご紹介、第2回目です。
便宜上分けた、【1.ロック&ポップス系】、【2.ジャズ系】、【3.ラテン系】と、【4.バラード系・その他】の4つの区分のうち、今回は、【ジャズ系】課題曲をピックアップして、ご紹介します。
ジャズ系
「ラグタイム王」と呼ばれるスコット・ジョプリンの出世作。Iパートのシンコペーションのリズムが重要です。IIパートはテンポキープをしっかりと。速いテンポで同じことを繰り返すので、見失わないようにしましょう。
デューク・エリントン楽団(ビッグバンド)のテーマ曲としても有名。シンプルバージョンながら、スイング感が出せるアレンジとなっています。左手はたとえ全音符でも、常にビートを感じて弾きましょう。
ラリー・ミンスキーは、フロリダ在住、ロックバンドやジャズバンドで研鑚を積み、ピアニスト・作曲家・指導者として活躍しています。全体を統一するブロック奏法(5ウェイ・クローズ)が 、クールで心地よいゆったりとしたサウンドを生み出しています。 全体を で演奏します。
1937年、ディズニー初の長編アニメーション映画『白雪姫』の主題歌。61年にマイルス・デイビスが取り上げてから、ジャズでもスタンダードとなりました。ここでは、ジャズのオープン・ヴォイシングの中でも、特に響きのよい"スプレッド・ヴォイシング"を取り入れたアレンジとなっています。美しい響きを味わって弾きましょう。
アメリカの歌手・トランペット奏者であるルイ・プリマが、1936年に作曲。30年代のアメリカに、スイング・ブームを巻き起こしたクラリネットの名手、ベニー・グッドマン楽団の代表曲として有名です。日本では映画『スウィングガールズ』でも用いられました。トロンボーンとトランペットの掛け合いによる躍動感あるイントロ、サクソフォーンとトランペットが奏でるダンサブルで華やかなメロディ、延々と続くドラムソロが印象的な楽曲。このアレンジは、連弾ならではの、ビックバンドの掛け合いのような雰囲気が堪能できます。
ステップ現行ポピュラー課題曲(応用1)の中で選択数ナンバー1の、ディズニーの人気曲。
魔法のじゅうたんで世界中を旅するときに流れるこの曲は、アカデミー歌曲賞を受賞しました。ここではミディアム・テンポの4ビートにアレンジされていますが、程よいテンポ感で速すぎぬように。右手と左手の掛け合いを楽しみながら、キメはしっかりと。
アップテンポの、ピアノトリオ向きのアレンジがとても小粋。原曲のメロディーラインを感じながら、軽快に弾きましょう。モーツァルトの元曲をまず弾いてみてから取り組むと、アレンジがより深く味わえます。
CMでもお馴染みで、日本人にとても好まれるジャズ・スタンダードです。バド・パウエルはこの曲を、ヨーロッパに移り住む前の1958年の暮れにレコーディング。翌年奥さんのアルテビアと当時3歳の息子とともにパリに向かいます。そのためか、ヨーロッパでの夢や希望に溢れた、華やかでエキゾティックな曲調となっています。演奏のコツは、8分音符を跳ねすぎないように。後ろにアクセントをつける感じで。
1917年作曲。アル・ジョルソン主演のレヴュー『シンバッド』(1919年)の中で歌われ、空前の大ヒットとなり、ガーシュウィンが作曲家として多大な成功を収めた代表作品です。ラグタイムのリズムにノッて、はつらつと。ラストにはフォスターの「スワニー河」の一節も。
ミュージカル『ガール・クレイジー』(1930年)で用いられた曲。他にも同ミュージカルからは、『エンブレイサブル・ユー』『バット・ノット・フォー・ミー』など名スタンダードが生まれました。スピード感溢れ力強い曲想は、短いながらも圧巻。左手の2拍子のビート感と、右手のシンコペーションのリズムがポイントです。