ピティナ・ピアノステップ

みなさまと音楽との関わりを応援するステップ・アドバイザー

みなさまと音楽との関わりを応援する
ステップ・アドバイザー

ステップの大きな特徴は、3名のアドバイザーからコメントをもらえることです。ステップは子どもから大人まで、ピアノを始めたばかりの方から指導者までどなたでもご参加いただけるイベントであり、ステップに参加される目的も参加者おひとりおひとり異なります。
アドバイザーは、学習にお役立ていただけるよう、そしてみなさまと音楽・ピアノとのかかわりがよりよいものになるよう願いながら、メッセージを書いています。今回は、ステップのアドバイスについて考えます。


5月に、「あなたにとってステップのアドバイスとは?」という参加者・指導者向けアンケートを行い、106名の方よりご回答をいただきました。その結果を紹介します。

アドバイザーのメッセージ・アドバイスに最も期待することは? (単一回答)
グラフ
「その他」のご回答内容
  • 60字コメントの内容に対応したアドバイスをいただきたい。
  • 参加者の年齢や、ステップ参加の目的を考慮してアドバイスいただきたい。
  • 良かった点と改善すべき点の両方を書いてほしい。
  • 具体的な練習方法を教えてもらえるとありがたい。

「演奏の改善点をできる限り率直に指摘してほしい」「参加者への応援の言葉が必要」「演奏の改善点があれば、やさしく指摘してほしい」の順に多い回答となっており、応援しつつも改善点は具体的に指摘するメッセージが求められていることがわかります。
同じアンケートでお寄せいただいた印象的なエピソードも紹介いたします。

『素晴らしい指導を受けておられますね』『この曲に出会えて良かったですね』『選曲があなたの音色や表現に合っています』等のあたたかいコメントをいただき、指導者としてたいへん嬉しく思いました。
昨年、私自身がコンペのリハーサルがわりにフリーステップを受けた時、細かな練習方法を紙の裏面にまでびっしり書いてくださいました。そんなに細かくアドバイスをいただいたことが初めてだったので、大変嬉しく印象に残っています。その通りに練習すると、効率良く上達し、コンペにむけた練習の中で大変役立ちました。ステップを通じた先生との出逢いに感謝しています!
生徒の演奏に対し、とある先生が『期待を込めて厳しめの評価です』と書いて下さいました。本当にありがたかったです。それ以来、心を入れ替えて普段のレッスンの練習も頑張ってくるようになりました。
以前受け取ったアドバイスで、その時はまだ技術が及ばず理解できず、数年後に「このことだったのか!」と理解できたことがありました。ありがたかったです。

全国各地へのアドバイザーの派遣、および新たなアドバイザーの輩出にも力を注いでいるのが、アドバイザー派遣委員会です。アドバイザー派遣委員会委員長として、2016年に「プレ・アドバイザー研修」制度を創設し、これまでに494名ものアドバイザーを輩出してきた林苑子先生に、お話を伺いました。

林 苑子先生

ステップは、人前で演奏することでピアノを長く続けてほしいという想いで始まりました。コンクールの審査員はその時の演奏の完成度を評価しますが、ステップのアドバイザーは参加者とピアノ・音楽とのかかわりを応援するのが仕事です。
私も全国でアドバイスを書きましたが、参加者の方とは一期一会の出会いで、それも非常に短い時間で書くことになります。ですから、音楽力や指導力、そして短時間で明確に言語化する能力を鍛えることが非常に重要だと思い、いつも意識しています。当日少しでもスムーズにコメントを書けるように、予めプログラムをチェックして、初めて見る曲は必ず事前に自分でも弾きます。ステップでは自由曲を演奏しますから、なかなか珍しい曲と出会うこともあり、楽しいです。また、アドバイスを書く時間を伸ばすことはできませんが、会場へ移動するとき、町の雰囲気を感じながら「今日はどんな参加者の方々に出会えるかしら」と想像を膨らませています。

音楽に正解はありませんし、「うまい・下手」と二元論的に括られるものでもありません。みなさまはそれぞれ、ご自分だけの音楽をもっていますから、それを大事にしていただきたいです。
将来ピアニストの道に進む人ばかりではありませんが、大人になってからもピアノの研鑽を続ける方は多くいらっしゃいます。好きならば、ピアノをずっと続けてほしい。そして、ステップはそのお手伝いができる場所で、アドバイザーは「好き」をお分けする仕事だと、私は思っています。


プレ・アドバイザー研修では、ステップアドバイスとはどういうものなのかを、新たにアドバイザーとなる先生に伝えています。研修を受けられ、現在、全国でメッセージを書いてくださっている先生方にコメントをいただきました。

永井 祐子先生
今でも、林先生に添削して頂いた講評用紙を大切に保管して、実際にアドバイザーとして出かける前に目を通したりしております。
同じ事を伝えるにも、もっとよい言い方があること、まずその方の演奏のよい所を書いて、その後でこうすればもっと良くなるのでは?というポイントを書く事など、教えて頂きました。
川内 由子先生
アドバイザー研修ではたくさんのことを学びました。
ステップでは大人の方(グランミューズ)がたくさん出演されますが、感想ではなく、より良くするためのアドバイスを詳しく書くこととお教えいただきました。
大人の方に対してはピアノを続けていただきたいという思いが強く、つい改善点の指摘が後回しになりがちだったので、いつもこのことを思い出してコメントを書くように努めています。
七五三掛 朋美先生
アドバイザー派遣委員会の先生方に丁寧に添削していただいたメッセージ内容や、研修で学んだ多角的な捉え方は、実際の現場で、主観的になりすぎていないか俯瞰するために、常に心に留めています。
研修を通じて、派遣委員会の先生方と「共に」、研修を一緒に受けている先生方と「共に」、ピティナの担当者の方と「共に」、ピアノを学ばれている方の未来のためにチームを組んでいるのだという意識が芽生え、大きく心を動かされました。
アドバイザーという形で、ピアノ学習者の方、ご指導者の方と共に前進できることを、本当に幸せに思っております。

林苑子先生が社会教育功労者表彰を受彰

文部科学省による令和四年度社会教育功労者が発表され、当協会理事・アドバイザー派遣委員長の林苑子先生の表彰受彰が決定しました。
林先生は、ステップ開始直後の平成10年からアドバイザーとして全国を回られ、平成16年にアドバイザー派遣委員会が創設されると委員長に就任されました。アドバイザー派遣委員会委員長および理事として、各地へのアドバイザーの派遣や会員の育成に尽力されたほか、近年ではアドバイザー研修制度を創設し、教育する側が「音楽を言葉で伝えること」に習熟する重要性を説き続けています。
表彰式は、11月2日(水)に文部科学省(東京都千代田区)にて開催予定です。

報道発表:文部科学省ウェブサイトより(10月4日発表)
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