2009年度ステップ新規ポピュラー課題曲の解説&アドバイス Vol.3
“ラテン系”演奏のヒント
新しいポピュラー課題曲のご紹介、第3回目です。
【1.ロック&ポップス系】、【2.ジャズ系】とご紹介してきましたが、最後の今回は、【3.ラテン系】と、【4.バラード系・その他】をご紹介します。
ラテン系
『タンゴ』は、19世紀アルゼンチンのブエノスアイレスに興った舞曲です。キューバ伝来のハバネラ、これが変化したミロンガなどの舞曲と、パレード音楽のカンドンベなどが影響し合って生まれました。IIパートの歯切れのよい刻みは、4拍目のウラにしっかりアクセントをつけて。Iパートはドラマチックなメロディーが印象的。出だしのIパートの入りが難しいので、よく練習しましょう(左右の手を使うのもおすすめ!)。
メキシコ革命をテーマにした曲。連弾によるリズムの絡み合いが実に楽しいアレンジです。大きく2拍子に感じて、せせこましくならないように。イントロの8分音符をよく揃えましょう。
アレンジジャーの金益研二氏より・・・冒頭のIパートは、ブラス・セクションの華やかな音色をイメージして。左手から右手へ移るメロディーの受け渡しをしっかり。IIパートのリズムパターンは、右手はサックスのように軽く、左手はベースのように少し重めにと、それぞれ独立した音色をイメージするとよいでしょう。
アントニオ・カルロス・ジョビンの代表曲。1967年に発売された、美しいインストゥルメンタル・アルバムは、彼の最高傑作ともいわれています。左手のリズムがポイント。ギターでコードをつまびく感じを思い浮かべて、ペダルを使いすぎないように。
アントニオ・カルロス・ジョビンが1962年に作曲した、ボサノバのナンバーとしてはもっとも有名な曲。ヴィニシウス・ヂ・モライスによるポルトガル歌詞は、イパネマの海岸を歩き去る、美しい少女への届かぬ想いを物悲しく訴える内容。応用6の同曲に対し、こちらはオーソドックスなアレンジとなっています。in2の大きなリズムに心地よくノッて弾きましょう。
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ミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』の中の一曲。リチャード・ロジャース作曲、オスカー・ハマースタイン2世作詞。映画では、雷を怖がる子供達がマリア先生の部屋にやってくる場面で歌われます。ここでは、けだるくかっこよいボサノバアレンジとなっており、イントロ&テーマはモード(ドリア旋法)独特の味わい。軽快なテンポで演奏しましょう。
原曲は、ジョージ・ベン(ジョルジ・ベン/Jorge Ben Jor)による、1963年のヒットソング。1966年、ブラジルのセルジオ・メンデス(セルジオ・メンデス&ブラジル66)により、世界的に大ヒットしました(グループ名はその後、ブラジル77、ブラジル88と改名)。左右のコンビネーションが難しいので、ゆっくり練習してからイン・テンポで。全体的にスピード感のあるタッチで演奏しましょう。
チック・コリアの代表曲であり、現在も世界中の演奏家にカバーされ続けています。『アランフェス協奏曲』をイントロとして用い、その後は一転アップテンポになり、フルート、エレクトリック・ピアノ(ローズ・ピアノ)、アコースティック・ベースのアドリブが続きます。これをピアノ1台で表現するにはあらゆるテクニックが必要。テンポも速いので、ゆっくり片手ずつから練習しましょう。イントロは十分歌って、アップテンポになってからはビシッとしたタッチで。
バラード系・その他
Iパートは、連弾の際は1オクターブ上で演奏します。前半は優しいワルツのリズムで、4小節をひとまとまりに感じてなめらかに。後半はスイング(はずんで)。前半との対比を出して明るく、タッチも変えましょう。
ジョン・ニュートンの作詞による賛美歌。特にアメリカで最も愛唱され、またバグパイプでも演奏されます。流れるような3拍子にノッて、大きなフレーズを感じて弾きましょう。両パートのバランスに注意。後半のタテ線(特に拍頭)を揃えて。
子どもに大人気の曲です。明るく軽快なテンポで、サビの部分は特に元気よく。メロディーは跳躍音程が多いので、指使いを工夫しましょう。
CMでもおなじみの曲。メロディーと伴奏のバランスに気をつけて、美しくメロディーを歌わせましょう。左手の4分音符の刻みはスタッカート気味に、均一になるように。大人の初心者にも取り組みやすいように、◎=親指くぐり、△=親指の上をまたぐなどの記号入り、ドレミふり仮名入り。
1961年、オードリー・ヘプバーン主演映画『ティファニーで朝食を』の主題歌。同年のアカデミー歌曲賞を受賞。歌に自信のないオードリーに代わって、アンディ・ウィリアムズがアカデミー授賞式で歌って以来、彼の重要なレパートリーにもなりました。全体的に、優雅なワルツを踊るような気持ちで弾きましょう。繰り返し出てくるテーマの、ハーモニーが変化していく色合いもよく感じて。曲の分析も、理解の手助けとなります。
SF映画『スター・ウォーズ』のメインテーマで、映画音楽の巨匠ジョン・ウィリアムズが作曲、アカデミー賞作曲賞を受賞した名曲です。調性やテンポにこだわったアレンジで、原曲の半分のサイズとはいえ、曲の魅力は十分発揮されています。オーケストラの様々な楽器を想像して、色彩豊かに演奏しましょう。
皆様のレパートリーとして親しんでいただけますように。